きがるに書くログ

「マカロニグラタン」と同じアクセントです

読書

どうせ死ぬのになぜ生きるのか『幸福と人生の意味の哲学 なぜ私たちは生きていかねばならないのか』

最近読んだ本でよかったのがこれ。「どうせ死ぬのになぜ生きるのか」を考えずにいられない人は読むといいと思う。

本ばっか読んでる人間に特有の概念:「次の本」

趣味らしい趣味が読書くらいしかなく、ここ数年はだいたい常に切れ目なく何かしらの本を読んでいるのだけど、こういう(「たまに本を読む」とかでなく)「常に何かしら読んでる」タイプの本読みには「次の本」という概念があると思う。

「よき人生とは何か」とか「わたしはどう生きるべきか」とか考えちゃうよね

「幸福とは……」とか「人生とは……」みたいなテーマに興味があり、そういう本に惹かれやすい。ちょっと前に読んだ『私の生きた証はどこにあるのか』も「そういう本」だ。 ユダヤ教のラビであるH・S・クシュナーが著した本書によると、タルムードには、人にはそ…

ストレスや困難への対処法の「答え」は、もう出ているのでは? という話

なににつけても、「こうするのが正解!」みたいな答え(もしくは真理)に簡単に飛びついてはいけないのだけど、「ストレスや困難には、どう向き合ったらいいのか」という問題に対しては、すでに一定の答えが出ているのでは、と思っている。

キリスト者が問う「神がいるなら、なぜこの世に悪があるのか?」などなど 『宗教を「信じる」とはどういうことか』

某所で本書を「好著」と評したレビューがあるけれど、その通りだと思う。信仰のない人間が「宗教」に抱きがちな疑問が解決……こそしないものの、宗教に対する考えが深まる本である。

本の謝辞が好き

丁寧でいて、かつ必要以上にへりくだらない態度というものがあると思う。丁寧であろうとするあまり、へりくだりすぎれば「卑屈」になり、却っていい気持ちがしない。これを適切におこなうには、ある種のバランス感覚がいる。

『親切の人類史』を読んでちょっと救われて、ちょっと寂しくなった話

マイケル・E・マカロー『親切の人類史 ヒトはいかにして利他の心を獲得したか』を読み終えた。「血縁者でもない赤の他人を助ける」という性質を人間がどのようにして獲得したのか、という謎に、進化心理学の観点から迫る本である。 言うまでもなく、人間は他…

なんでも「いい練習」と思えれば最強 ~役に立ってるストア哲学の言葉~

珍しいことに、このごろ人間関係でストレスがあり、イライラすることが多い。 いや、どう考えてもそんなに大した話じゃないのだけど、それでもイヤなものはイヤというやつで、当該の相手と顔を合わせる日は、ちょっとだけ憂鬱だ。 「慢性的にイライラする」…

徳倫理学の昔と今とこれから『ケンブリッジ・コンパニオン 徳倫理学』

「徳」への興味はいまだ継続中で、また徳の本を読んでしまった。有徳者になってしまうぞ。

おれたちみんな「見習い」だよな『徳は知なり: 幸福に生きるための倫理学』感想その2

前に感想を書いた『徳は知なり: 幸福に生きるための倫理学』の感想第二弾。前は「幸福」に関して印象に残ったところを書いたが、今回は「徳」に関して、これは大事だなと思ったことを書く。

幸せは「お金」じゃない……としたら、なに?『徳は知なり: 幸福に生きるための倫理学』

ちょっと前から「徳」概念に興味がある。前に読んだ『人間にとって善とは何か: 徳倫理学入門』に続いて、これも徳の本だ。 本書では「徳倫理学について」ではなく「徳そのものについて」論じられている。 また、伝統的に徳は「幸福」と深く関連づけて論じら…

哲学者は「差別」と「区別」をどう区別しているのか?『差別の哲学入門』

ひょんなことから「差別」について考えてみるか、と思い立って(経緯の説明が雑!)読んだ。ためになる本だった。

ダメなものはダメ『人間にとって善とは何か: 徳倫理学入門』

最近読んだ本に「徳」という概念の話が出てきたのを読んで以来、「徳」のことがなんとなく気になっていたので読んだ。「徳倫理学」とは、「行為のあり方」ではなく「人のあり方」を問題にする倫理学らしい。 読んだには読んだが、こんな入門があるかよという…

「情けは人の為ならず」とは言うけれど 『思いがけず利他』

他人から親切にされると嬉しい反面、それが負担に思えることもある。「相手を喜ばせたい」という気持ちは「相手が喜ばないのが気に入らない」というコントロールの欲望と紙一重だ。

恵まれていることへの罪悪感をどうするか問題『うしろめたさの人類学』

自分は恵まれすぎている、という罪悪感というか「負い目」というかが、ちょっとある。なにせ日本に生まれて普通に電気と水が使えるだけでラッキーだ(「相対的貧困」という言葉は知っているが一旦おいておく)。 そして貧しい国とか、外国に限らず大変なこと…

Kindleの「ポピュラーハイライト」で疑心暗鬼になる

Kindleの「ポピュラーハイライト」機能について、最近思っていることを書く。困った機能である。

落語のオチ、やっぱりつまらないよね?『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』

去年の暮れごろから落語を聴き始めて、まだ飽きずに聴いている。 聴きはじめのころに戸惑ったのは、オチが、えーと、オチがつまらないのだ。

おれたちが信じているのは本当に「エビデンス」なのか?『エビデンスの社会学: 証言の消滅と真理の現在』

いつの間にやら「エビデンス」(科学的証拠)という概念が一般的になった。 健康法にしろ環境問題にしろ流行り病の予防策にしろ、エビデンスがないと言われるものは一段下に見るようなところが社会の風潮として、そしておれ自身にある。 だけど、おれは本当…

『寄付白書2021』を素人が読んだら

帯に「ファンドレイザー・研究者・メディア・行政の方、必携の書」と書いてある。どれでもないのに買ってしまった。 しかし、それでも読んでみると「へー」と思うことが多くおもしろかったので、素人なりに印象に残ったところをつらつらっと書く。

『ブッダのことば-スッタニパータ』読書メモ

ブッダの時代から現代にかけて、人間の社会が笑っちゃうほど変わったことは言うまでもない。 一方、人間そのものは笑っちゃうほど変わっていないことが、この本を読むとよくわかる。

悲しいときは悲しんでいい『ブッダが説いた幸せな生き方』

なにを幸せと感じるかは人それぞれだけど、金をたくさん稼いでたくさん贅沢するよりも、贅沢はできなくとも穏やかで落ち着いた生活を送るほうが幸せだと、おれは思う。 同じように感じる人には、ブッダの教えは本書の言うとおり「幸せのレシピ」かもしれない…

眼球体操をやってはいけない『世界一の眼科外科医がやさしく教える 視力を失わないために今すぐできること』

疲れ目の時にやる「眼球体操」というのがある。 目玉を上下左右に動かしたり、ぐるっと回したりするアレだ。 この本によると、あれは網膜剥離の原因になるから、やっちゃいけないらしい。

1gもない脳みそで……!?『魚にも自分がわかる ──動物認知研究の最先端』

この本、前書きの結びが「面白いことは請け合う。」なんだけど、ホントに面白かった。

言葉選びがいい『大事なものは見えにくい』

哲学者・鷲田清一のエッセイ集。 なんと言っても言葉選びがいい。いくつか引用しよう。

「役に立つ」ものばかり求める危うさ『科学と非科学 その正体を探る』

「なんでも知っている」と豪語する専門家より、分からないことは「分からない」と正直に言ってくれる専門家の方が信頼できる。本書からは後者の像が浮かぶ。

熱心に寄付をするのは「いいこと」か?

solio(ソリオ)という寄付のサービスがある。 寄付先を個別の団体ではなく「ジャンル」で選ぶのが特徴で、例えば「国際協力」というジャンルに寄付すると、そのお金が「国際協力」のジャンルに登録されている複数の団体へ平等に分配される仕組みだ。 寄付を…

「動物好き」ほど耳が痛い 『はじめての動物倫理学』

向き合いたくなくても向き合わなくてはならない問題が、世の中にはある。 本書が投げかけるのはその類の問題だ。

寄付はいいぞ

毎月、某NPO団体に寄付をしている。 金額はナイショだけど、別に金持ちなわけではなく、むしろ月収十ウン万円の低所得者なので、まあお察しください。 当然、好きでやっている。やってみるとなかなかいいものなので、もっとカジュアルなものになればいいのに…

生活保護はなぜ必要か 『生活保護から考える』

生活保護制度は手厚く守られるべきだし、基準額の引き下げもそう簡単にあってはいけないし、生活保護制度はもっと使いやすい制度であるべきだ。 言われるまでもなく知ってたけど、本書を読み終えて改めてそう思う。

そんなに凄いヤツだったんか…… 『トラクターの世界史 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』

歴史にもトラクターにも詳しくないんだけど、中公新書のツイッターで見かけたかなんかして、面白そうだと思って読んだ本。 面白かった。トラクターが世界各地に普及した経緯や、それがもたらした影響を論じる本で、タイトル通り「歴史を変えた」と言っていい…