きがるに書くログ

「マカロニグラタン」と同じアクセントです

本の謝辞が好き

丁寧でいて、かつ必要以上にへりくだらない態度というものがあると思う。丁寧であろうとするあまり、へりくだりすぎれば「卑屈」になり、却っていい気持ちがしない。これを適切におこなうには、ある種のバランス感覚がいる。

思うに、この上手な実践を見られるのが、本の謝辞だ。本の最後のほうに書いている「本書の執筆にあたって重要な助言をくださった〇〇氏に心から感謝を申し上げる」みたいなアレである。

本の謝辞が好きだ。誰かが誰かに感謝を述べる光景自体が清々しいけれど、それが整った言葉づかいで綴られた文章には、なんとも言えない読み心地がある。あれこそ「丁寧でいて、かつ必要以上にへりくだらない態度」だと思う。本を読む際のちょっとした楽しみと言っていい。

 

ところが、ググってみると謝辞に否定的な人もいることがわかった(みんなも好きだよね? という気持ちでググったのに……)。

あえて引用はしないけれど、主に「ヤフー知恵袋」などのQ&Aサイトで、否定的な意見が一つならず見られる。著者が誰に世話になったかなど読者には関係ない、興味がない、いちいち本に書く理由がわからない、など。

謝辞を「なんとも思わない」人はいるだろうと思っていたけど、まさか積極的に否定する人がいるとは意外だった。いろんな考えがあるものである*1

謝辞好きとしては、そういう人も映画のエンドロールみたいなものと思って読んだり読まなかったりすればいいんでない? と思うが、それにしたって、お礼は他所でやれというのは、寂しい。

 

 

先日読み終えた『親切の人類史 ヒトはいかにして利他の心を獲得したか』の謝辞。ページを人名で埋め尽くす列挙ぶり。こういうの最高です。

blah-blah-blah.hatenadiary.jp

(↑この記事でも「寂しい」って書いてるな。寂しがり屋か)

*1:と言っても、何年も前の書き込みも含めて数件程度だから、たぶんこういう意見は少数なのだとは思う