「NPOは信頼がない」solio1周年記念生配信メモ&感想
solio(ソリオ)という寄付のサービスがある。
どういうサービスかは公式サイト↑を見てもらうとして、そのsolioがサービス開始一周年を迎えたそうで、先日、一年を振り返り今後について語る「1周年記念生配信」がおこなわれた。
リアルタイムでは見られなかったけどアーカイブを見終わったので、いち「寄付をする人」として印象に残ったこととかを書く。
動画はこちら↓
NPOは信頼がない
(16分くらい~)代表の今井さんと取締役の桂さんの対談が始まって早々に「NPOは信頼がない」という話になってちょっと笑う(笑っちゃいけないかもしれないが)。
おれは某NPOにマンスリーで寄付をしているので「信頼できるじゃん!」と思うけど、やっぱり一般的にはそうじゃないのな……。
で、その「信頼」について桂さんは「団体の実績をデータで示すのも大事だけど、そういうのは詐欺団体でもできるんだから、最後は結局『データ』でなくて『人』が大事」(要約)とのこと。
そして信頼の獲得には「人を出すこと」、代表の人なりスタッフの人なり、団体で活動している生身の人からの発信だという。「団体名のSNSは伸びない」らしい。
これ確かにそうだなーと思って、おれもNPOで活動している人のツイッターとか著書とかを読んで「社会の問題にこんなに真面目に取り組んでいる人がいるんだ」と気づいたクチである。
最近は定量的なデータの大事さが強調されるけれど、定量的に測れない要素も大事なのだ。
「困窮者に100%届けてほしい」の落とし穴
(21分くらい~)今井さんが代表を務めるNPO「DxP」(ディーピー)では、スタッフの給与も上げていくことを積極的に寄付者に発信している、という話には「そのとおり!」みたいな気持ちになった。
寄付する側としては、一万円出したら一万円そっくり支援対象者のために使われてほしいと思うものだ。
だけれど、いい支援をするには優秀なスタッフが必要だし、優秀なスタッフを確保するには相応のお金を支払わないといけない。団体を長期にわたって存続させるのにも「人」は必要だろう。
おれはそう思っているので、自分の寄付金は職員の給料の一部にでもなればいいと思って寄付をしている(なんならおやつ代でもいい)。
支援対象を選ぶことについて
(74分くらい~)solioを通した寄付先で、いちばん寄付額が多いのは「子供の教育」への支援だ。
この「偏り」の話からの一連の流れには、支援する対象を選ぶこと、とくに支援の「効果」に基づいて選ぶことについて考えさせるものがある。
たとえば、このごろは「子供への支援が国にもたらす経済効果はいくら」だとか「ソーシャルインパクト評価」といった言葉がよく聞かれる。
このこと自体はいいことだと思うけれど、支援活動の効果を「目に見える数値」で測ることの怖さもある気がする。
なんかこう、「目に見える数値において高いパフォーマンスを示す活動が『やる価値のある活動』で、そうでない活動は『やる価値のない活動』」みたいな風潮が、寄付する側に生まれてはいけないなと思うのだ(もちろん、あけすけにそんなことを言う人はいないが)。
お金は効果的に使われてほしいし、客観的なデータが寄付の動機になることもあるだろう。
だけど、そのことと「助ける価値のある/なし」とを混同してはいけない。
数字で表せることが全てではないし、「その人を助けることの価値」が測られる世の中は嫌である(そうは言っても「選ぶこと」から逃れることはできないから難しい話なのだけど)。
solioは寄付を身近なものにしようという心意気がよい。実際、solioで初めて寄付をしたという人も多いらしい。
寄付が思うように広まらないのにはいろんな原因があると思うけど、もうちょいカジュアルなものになればいいと思う。いいことすると気分がよいですよ。